Q&A

古いFANUC CNCからの設備データ取得について

こちらの記事はPMCラダー屋へ過去にお問い合わせいただいた内容をもとに、Q&A形式にして記事を作成したものです。内容について同様のご質問、お問い合わせなどで参考になるかもしれません。この内容はお問い合わせ内容に関するすべての情報を網羅しているわけではなく、その時点での回答を含めて構成されています。新しい情報、完全な情報をお求めの場合はお問い合わせフォームからお問い合わせください。

Q: 古いFANUC CNCを搭載した加工機から、設備の故障予知に向けた情報収集を行いたいのですが可能ですか?

A: 設備の仕様によって、可能な場合と不可能な場合があります。

お客様のご要望は、古いFANUC CNCを搭載した加工機から、以下の情報を取得することでした。

各軸の実速度
モータ温度
負荷電流値
サーボ遅れ量

これらの情報を、CNCのシリアル通信を使うか、外部センサーを後付けするか、手段を問わず取得したいというご相談でした。

設備メーカーやFANUCに問い合わせた結果、「CNCを最新のものに交換するしかない」と提案を受けたとのことですが、既存のCNCを活用したデータ取得の可能性を探ります。


Q: 古いFANUC CNCでも、これらの情報を取得することは可能ですか?

A: 機種やバージョンによります。

FANUCのCNC機種やバージョンによって、以下の2つのパターンに分かれます。

🔹 データ取得が可能な機種 → FANUCのCNCソフトウェアに、各種データを取得できる機能が備わっている場合
🔹 データ取得が不可能な機種 → FANUCのCNCソフトウェアに、必要なデータの読み取り機能がない場合

古い機種の場合、ソフトウェア的にデータを保持していないケースが多いため、取得が難しくなる可能性が高いです。


Q: データ取得が不可能な機種では、どのような方法がありますか?

A: 外部センサーを後付けする方法があります。

もしFANUC CNCがデータを保持していない場合、以下の方法で取得できる可能性があります。

🔹 実速度 → エンコーダーや回転センサーを追加する
🔹 モータ温度 → サーミスタや外部温度センサーを設置する
🔹 負荷電流値 → 電流センサーを取り付け、電流の変化を計測する
🔹 サーボ遅れ量 → 外部制御装置でサーボの挙動を測定する

ただし、この方法はサーボモーターやアンプの型式に依存するため、設備ごとに異なる対応が必要になります。


Q: 比較的新しいFANUC CNCでは、ソフトウェア改修でデータ取得が可能ですか?

A: 可能ですが、設備メーカーによる制限がある場合があります。

比較的新しいFANUC CNCでは、CNC内部のソフトウェア(PMCラダーなど)を改修することでデータ取得が可能になるケースがあります。

ただし、以下の点に注意が必要です。

設備メーカーによっては、ソフトウェア改修にパスワードロックがかかっている
一部のメーカーはC言語やカスタムマクロを使用し、第三者による改変を防いでいる
FANUCの標準的なラダー(PMC)が使用されていれば、改修可能な場合もある

このため、設備メーカーに問い合わせて、ソフトウェア改修が可能かどうかを確認することが重要です。


Q: CNCのシリアル通信を使ってデータを取得できますか?

A: FANUC CNCの機種によっては対応不可の場合があります。

お客様のご要望では、シリアル通信を使ってCNCからデータを取得する方法を検討されていましたが、古いFANUC CNCでは以下の問題が発生する可能性があります。

1️⃣ 古いFANUC CNCでは、シリアル通信によるデータ取得機能が搭載されていない場合がある
2️⃣ シリアル通信のプロトコルが特殊で、汎用的なシステムと連携できない場合がある
3️⃣ 通信ユニットを別途追加する必要があり、ハードウェアの改造が必要になることがある


Q: 代替手段として、FANUC CNC以外の通信ユニットを使う方法はありますか?

A: はい、外部通信ユニットを追加する方法があります。

FANUC CNCに直接シリアル通信の機能がない場合、以下の方法で対応できる可能性があります。

FANUC以外の通信ユニットを追加し、パソコンと連携させる
通信ユニットとFANUC CNCを、I/O信号で接続し、間接的にデータを取得する
I/Oの増設が可能であれば、制御データをI/O経由で取り出す

ただし、この方法を採用するためには、CNC側にI/Oの増設が可能かどうかを事前に確認する必要があります。


Q: 実機調査は必要ですか?

A: はい、実機調査を行わないと正確な判断は難しいです。

今回のケースでは、以下の点を確認する必要があります。

CNCの型式・バージョン(データ取得機能があるかどうか)
サーボモーターやアンプの型式(外部センサーを追加できるか)
シリアル通信機能の有無(通信でデータ取得が可能か)
ソフトウェアの改修が可能か(メーカーによる制限がないか)

設備の仕様が異なるため、一括で対応する方法はなく、各設備ごとに最適な工法を選択する必要があります。


まとめ

古いFANUC CNCからのデータ取得について

機種によってデータ取得が可能な場合と不可能な場合がある
ソフトウェア的に情報を保持していない場合は、外部センサーを追加する必要がある
比較的新しい機種ならば、ソフトウェア改修でデータ取得が可能なケースもある

シリアル通信でのデータ取得について

古いFANUC CNCでは、シリアル通信が対応していない可能性がある
通信ユニットを追加したり、I/O経由でデータを取得する方法もある

実機調査について

CNCの型式・バージョンを確認する必要がある
メーカーの制限がないか確認し、ソフト改修の可否を判断する
I/Oの増設が可能かどうかを確認する

FANUC CNCのデータ取得や設備故障予知についてお困りの方は、お気軽にご相談ください!

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