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FANUCのPMC-K/L/M/Pについて

FANUCのPMCは、工作機械や生産設備の制御を担う重要なコンポーネントですが、古いNC機種についての情報は、ネット上では限られており、書籍や取扱説明書が重要な情報源となります。今回は、昭和60年ごろから現在でも使用されている旧機種のPMCであるPMC-K、PMC-L、PMC-M、PMC-Pについて解説します。

機種対応NC機種プログラム方式レベル数実行周期最大入力点数最大出力点数プログラム容量
PMC-KFANUCシリーズ1ニーモニック言語LEVEL216ミリ秒104点72点約3000ステップ
PMC-Lシリーズ0/00/0-Mateニーモニック言語LEVEL216ミリ秒104点72点約3000ステップ
PMC-Mシリーズ0/00/0-Mateニーモニック言語LEVEL316ミリ秒/8ミリ秒208点144点約8000〜12000ステップ
PMC-PPower Mate-A/Bニーモニック言語LEVEL28〜16ミリ秒48点32点約2000ステップ

PMC-Kの特徴

PMC-KはFANUCシリーズ1用として設計されています。以下が主な仕様です:

  • 基本命令数: 12
  • ファンクション命令数: 23種類
  • 内部リレー: R250から50バイト
  • 保持型メモリー: D300から200バイト
  • タイマーとカウンター: 可変タイマーとカウンターは1つにつき5バイト、保持型メモリーから占有
  • プログラム容量: 約3000ステップ

固定タイマーはなく、最大入力点数が104点、最大出力点数は72点です。

PMC-Lの特徴

PMC-LはFANUCシリーズ0/00/0-Mate用です。PMC-Kと比較して次の点が進化しています:

  • 基本命令数: 12
  • ファンクション命令数: 34種類
  • 内部リレー: パラメーター設定により400バイトを保持型メモリーとして利用
  • 固定タイマー: 内部リレー領域を使用(タイマー1個につき3バイト占有)
  • プログラム容量: 約3000ステップ

最大入力点数と出力点数はPMC-Kと同じですが、内部リレーと保持型メモリーの使い分けが特徴です。タイマー、カウンターで占有する保持型メモリの容量はPMC-Kと同じです。

PMC-Mの特徴

PMC-Mは、PMC-Lの拡張版で、より高い性能を持っています:

  • 基本命令数: 12
  • ファンクション命令数: 35種類
  • 内部リレー: 696バイト(うち400バイトを保持型メモリーと使い分け)
  • タイマーとカウンター: 可変タイマーとカウンターは1つにつき5バイト占有
  • プログラム容量: 約8000〜12000ステップ

最大入力点数は208点、最大出力点数は144点で、PMC-K/Lの倍に増加しています。

PMC-Pの特徴

PMC-PはPower Mate-A/B用で、PMC-K/L/Mと似た特徴を持ちますが、以下の点で異なります:

  • 実行周期: Power Mate-Aは16ミリ秒、Power Mate-Bは8ミリ秒
  • 基本命令数: 12
  • ファンクション命令数: 33種類
  • 内部リレー: 2048バイトを保持型メモリーと使い分け
  • タイマーとカウンター: 可変タイマーとカウンターは1つにつき5バイト占有
  • 最大入力点数: 48点
  • 最大出力点数: 32点

作成したラダープログラムはEPROMやフラッシュROMに書き込みます。Power Mate-BではフラッシュROMを使用するため、EPROMが不要です。

モデル間の違い

FANUCシリーズ0(0T/0Mなど)では、モデルA、モデルB/Cによって性能が異なります。モデルAは初期型で、モデルB/Cは後発のため処理能力が向上しています。

モデル基本命令処理時間PMC-Lプログラム容量
モデルA(0T/0M)30マイクロ秒約3000ステップ
モデルB/C(0T/0M)6マイクロ秒約5000ステップ(オプション)

PMC-Mでは、モデルAが最大約8000ステップ、モデルBが最大約12000ステップとなります。

ダイナミック・ラダー表示の進化

FANUCのシリーズ0-Cでは、CRT上でラダーのモニタ表示によるON/OFF判別が可能になり、ビットのON/OFFを確認しながら直接モニタリングやデバッグができるようになりました。それ以前は、ダイアグノーズ(診断)画面でアドレスに対応するビットの1/0を確認しながらラダー図と突き合わせる必要がありましたが、この機能により作業効率が格段に向上しました。

まとめ

PMC-K/L/M/Pは、それぞれの時代や用途に応じて進化してきたFANUCの制御システムです。PMCの歴史を理解することで、現在でも使用されている旧機種の修理や運用に役立つ知識を得ることができます。

PMCラダー屋.COMでは旧機種への改修対応を行っています。すべてのものに対応できるとは限りませんが、メーカー対応できなくなった設備でも使い続けられる場合があります。処置にお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。何らかの手助けができるかもしれません。

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