CNC設備に限らず、現在のありとあらゆる機械や設備にはコンピュータ（CPU）が内蔵されていて、それらはどんな機能を実現するにも、プログラムやデータ無しでは不可能なことはご存じですよね？
たとえば、あなたのスマホの写真はどこに保存されていますか？　Googleフォト？　iCloud？　DropBox？　Amazon AWS？　それともスマホの本体メモリ？

それなら今工場で使っている機械設備の、さまざまなデータも保存・管理できていますよね？　まさか設備購入時のままじゃあないですよね？　３年、５年、１０年前のバックアップデータじゃないですよね？　中古で購入したのなら、購入時のデータはありますよね？　まさか機械だけ買って、説明書とかバックアップデータとか無かった・・・なんてことはないですよね？

ほんとによくある話なんです。実に由々しき問題なんですが、日本製の機械設備はなかなか壊れないためか、使う側の人たちも危機感が薄いです。安心しちゃってるというか、なんというか、そこまで考えが及ばないというか。

だけれど、壊れない機械なんて存在しないわけで、いつかどこかに「ほころび」が生じるんです。それが形のないところの「データ」とか「プログラム」とかだったらどうするんですか？　形のある部分なら図面から再製したり、最悪のばあいでも見た目で計測した結果から作りこみができるけれど「データ」や「プログラム」なんて一瞬で消え去ってしまいます。それに、プログラムなんかに関する説明書や図面がなければ、もうあきらめるしかないですね。機械そのものを一瞬で消すのはとても大変なんですが、データやプログラムは条件が揃えば、まさに瞬殺。あとかたも無くこの世から消えてしまいます。

それでもなんとかなるって考えるのは、最後は機械メーカーになんとかしてもらえるだろうという甘えがあるからでしょうか。

比較的あたらしいタイプのFANUC製CNC、ｉシリーズ（０ｉ、３０ｉ、１６ｉ、とかのｉがつくシリーズ名のモデル）はコンパクトフラッシュ（CFカード）やUSBメモリにデータのバックアップができるようになっています。おススメはCFカードでこれはどの機種にも使えます。USBメモリには保存できないデータも一部にはありますが、CFカードへは全てのデータがバックアップとして保存可能です。

新しい機械なら、メーカーさんがFANUCの純正CFカードやPCカードアダプタを付属で付けてくれるのが一般的ですが、中古機を導入すると前にも書いたように説明書が無い、バックアップメディアも無い、それでバックアップするにもどうしたらいいのかわからない。　なんてことになります。

せめてバックアップ用にCFカードとPCカードアダプタは準備しましょう。CFカードの容量は32MBとか64MBとかで、大きくても128MB以下にしないとアカンです。大容量の物ものは認識してくれません。さらに〇倍速書き込み！　とか、いわゆる「高速タイプ」は使えません。倍速とか何にも書いてないスタンダード品というか初期規格品を準備しましょう。

それでも、CFカードにバックアップしたら万全と思ってもらったら困ります。CFカードのデータはいつまで保てるのか心配になりませんか？　そういうときは、CFカードのデータをパソコンやサーバーへ退避しておけば良いです。いったんCFカードにバックアップしたデータは、最近のパソコンで扱えるデータ形式になっています。あー、もちろんファイルとして扱えるだけで、内容はバイナリデータなので覗いて見ても何が何だか理解はできません。それでもバックアップデータを置いとける場所が増えるということは、危機的状況を早々に回避できる確率が高くなる、っていうことなので、これは有無を言わさずにやっときましょう。