FANUC 15シリーズの PMC-N/NA で Pascal または C の実行状態を確認するには、以下の手順でアドレスに表示されるビット状態(1 または 0)を確認します。基本的には10/11/12シリーズと同様な方法で確認ができます。
手順概要
- PMC 基本メニューの表示
ソフトキー [PCDGN] を押し、PMC の入出力信号や内部リレーなどのステータス表示画面(ダイアグノーズ画面)を表示します。- この画面では、PMC や Pascal / C が使用するすべてのアドレス(X, Y, F, G, R, A, C, K, D, T, M, N)のデータを確認可能です。
- データはビットパターン(0 または 1)で表示され、横一列が 8 ビットのデータとなります。
- ビット状態は「1」のときに ○、そして「0」のときに 0 と表示されます。
操作手順
1. PMC 基本メニューを表示する
- MDI キーの右下部にある [NC/PC] キーを押して、PMC 基本メニューを開きます。
2. ダイアグノーズ画面を表示する
- ソフトキー [PCDGN] を押し、CRT 画面をダイアグノーズ表示(PCDGN 画面)に切り替えます。
- 画面下部のソフトキーメニューが [SEARCH] に変わります。
3. 確認したいアドレスを入力する
- 表示させたいアドレス(例:R549)を [R][5][4][9] の順にキー入力し、ソフトキー [SEARCH] を押します。
4. ビットパターンを確認する
- 指定したアドレスから連続するデータが、ビットパターンとして CRT 画面に表示されます。これにより、ダイアグノーズ画面で R549 の各ビット状態を確認できます。
パスカル、 C ステータス
ビット | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | 0 |
Pascal 使用時のR549 | PAS.ORG | DATA.ORG | TCB.ERR | Pascal | PCMDI | |||
C 使用時のR549 | C.ORG | DATA.ORG | OPTION | SNGL.KEY | C | PCMDI |
- PAS.ORG: PASCAL ORIGIN 設定エラー。
- C.ORG: C ORIGIN 設定エラー。プログラム領域以外または奇数アドレスの設定。
- DATA.ORG: Pascal/C DATA ORIGIN ERROR。
- OPTION: C ライブラリオプションの有無(0 = オプション有、1 = オプション無)。
- TCB.ERR: TCB 設定エラー。
- SNGL.KEY: 一文字キー入力処理の状態(1 = 一文字キー入力有、0 = 無)。
- Pascal: Pascal プログラム有無(1 = 有、0 = 無)。
- C: C プログラム有無(1 = 有、0 = 無)。
- PCMDI: PCMDI 画面表示状態(1 = 表示中、0 = 表示外)。
上記は機械側の操作盤から確認する方法ですが、ラダーデータまたはラダー図面がある場合には以下の方法でも確認できます。
PMC-N の FAPT LADDER 側の設定で Pascal / C の実行有無を確認する方法
ラダー編集ソフト FAPT LADDER を使用して、PMC のシーケンスプログラムを作成する場合、以下の 3 レベルのシーケンスプログラムが作成されます:
- 第1レベルシーケンス
- 第2レベルシーケンス
- 第3レベルシーケンス
- 第1および第2レベルはプログラム作成時に実行周期が決定されます。
- 第3レベルは Pascal / C プログラムとの優先関係に基づいて実行周期が決まります。
各プログラムの優先順位は以下の通りです:
- 第1レベルシーケンス
- 第2レベルシーケンス
- Pascal / C プログラムの各タスクまたは第3レベルシーケンス
Pascal / C の各タスクの優先順位は、TCB(タスク制御ブロック)の登録時にタスクレベルを設定することで決定されます。また、ラダーの第3レベルも Pascal / C のタスクと同様に TCB を設定することで優先関係が決まります。
Pascal / C プログラムを実行するための設定
Pascal / C プログラムを実行するためには、Pascal / C とラダーの両方の実行を考慮して設定を行う必要があります。
言い換えれば、システムパラメータが Pascal / C の実行を考慮した内容になっている場合、Pascal / C プログラムが必要である、またはプログラムが実行されていると判断できます。関連するシステムパラメータを紹介します。
システムパラメータの設定
以下は PMC-N におけるシステムパラメータの設定例です(一部抜粋)
LADDER EXEC(ラダー実行時間) : 100% ( 100 - 150% )
PASCAL EXEC(パスカル実行時間) : 20% ( 0 - 100% )
PASCAL EXEC RATIO : 50% ( 0 - 99% )
(パスカル/PMC画面処理時間比率)
- LADDER EXEC ;
ラダーの第1および第2レベルシーケンスの処理時間の増分を設定します。これにより、ラダーのスキャンタイムが短縮され、実行速度が向上します。
100% の設定では、8msec周期のうち5msecが第1、第2レベルシーケンスの処理時間に割り当てられます。
150% の設定では、7.5msecが第1、第2レベルシーケンスに割り当てられ、ラダーのスキャンタイムが約66%短縮されます。
Pascal / C プログラムを使用しない場合は、通常 100% の設定にします。
- PASCAL EXEC ;
Pascal / C とラダーの処理時間の比率を設定します。
LADDER EXECとは反対に、第1レベルと第2レベルの処理時間を減らし、Pascal / C の処理時間を増やします。
Pascal / C プログラムを使用しない場合は、通常 0% の設定です。
- PASCAL EXEC RATIO ;
Pascal / C の処理と PMC 画面表示の処理時間の割合を設定します。
0% の設定では、まず PMC 画面表示を行い、その後に Pascal / C を実行します。
Pascal / C プログラムを使用しない場合は、通常 0% の設定です。
シーケンスプログラムの組み合わせ
FANUC 15シリーズ用 PMC-N/NA では、ラダーシーケンスに加え、C言語でシーケンスプログラムを作成することが可能です。また、C言語のタスクと Pascal プログラムのタスクは共存可能です。これらのことから、ラダーシーケンス+C言語タスク(Cプログラム)+Pascalタスク(Pascalプログラム)のような構成も考えられます。
実際の設備にどんなプログラムが使用されているかは、メーカー発行の取扱説明書や図面を参照する必要があります。また画面表示でラダープログラムの存在が確認できない場合、シーケンスプログラムが C 言語で作成されている可能性もあります。
まとめ
Pascal / C プログラムがシステムに含まれている場合、ROM の故障などによる復旧時に大きな障害となる可能性があります。 そのため、現在の設備の状態を定期的に確認し、記録しておくことが非常に重要です。可能であればバックアップ用のPCカセットやROM、ROMデータを準備されることをお勧めします。
PMCラダー屋.COMではこれらのROMデータのバックアップをお手伝いいたします。お問い合わせは当サイトのお問い合わせフォームをご利用ください。