年代物の9インチCRT/MDIを使っていると、CRT表示器そのものがダメになってくることがあります。部品交換しようとしてもCRTなんて今どき作ってないし、どうしたものかと悩みのタネになっていませんか?

弊社でもテスト用のNC装置があって、これがまたCRT表示器を使ってます。今回は、これがダメになる前にLCDに取り換えてしまおうという事です。
耐久性のほどは、ちょっと定かではありませんが、交換部品は意外と簡単に入手できます。交換手順も簡単なので、ざっくりとご紹介します。
まずは裏面から、コネクタ2カ所外します。あ、当然ですが電源を切って、しばらくしてから作業してください。下手なところに触って感電するのはイヤですからね。

ケーブルが取り外せたら、CRTと基板一式がセットになっているフレームごと取り外します。M4ビスが上下各2本止まっているので、なんとかドライバーを入れて緩めちゃいましょう。




CRTは表面が湾曲しているため、操作面との間にはスペースを確保するためにスペーサーが入っていたりします。また、すきまを埋めるためにスポンジ状のスキマテープみたいなものが貼ってあるかもしれません。傷んでボロボロだったら取り換えてもよいでしょう。
ただし、液晶の表示にはほとんど影響ないため、きれいに掃除だけする。という手もあります。この辺は機械ごとにつくりは違うかもしれませんが、CRTの取り外したあとに、そのままLCDが取付けできるので、あまり神経質にならなくても良いと思います。
それで、今回交換するLCDユニットはこちら。


横から見たら結構なコンパクトさです。正面から見た写真は、奥行きがあるので、写真では大きさがだいぶ変わって見えますが、取付けのビス穴寸法は同じです。ではこれを取り付けます。

上下のビス4本をとめますが、取付穴が長孔になっているのでなるべく水平になるように取り付けましょう。で、ビスをしっかり締めたら、最初に外したコネクタ、ケーブル2本を接続します。これで完了です。
では電源を入れてテスト運転します。



特に激しい苦労もなく、あっさりとCRTからLCD(液晶)に交換作業が終わりました。表示色は、やや黄色みが薄くなったかな・・・という感じです。また、上下目いっぱいに表示されるようになったので、文字が少し縦伸びしたように見えます。
どの画面に切り替えても、かなりくっきり表示されているので見た目の問題はないだろうと思います。
ひとつ気になる点は、ラダーモニタやPMCDGNのステータス表示のような、小さい文字の画面に切り替えたり、そこから普通サイズの文字表示画面に切り替えるときです。CRTの水平、垂直信号などをシミュレートして表示しているためかもしれませんが、CRTのときよりも画面表示切替えに時間がかかります。何も表示されない無表示状態が3、4秒あります。そのあとはちゃんと表示されるので心配いりませんが、そういうものなんだ~~~、と理解しておいた方がよいでしょう。
おまけですが、CRT時の消費電流、LCD時の消費電流を測定しました。


電圧DC24Vですが、CRTでは0.5から0.6A程度、LCDでは0.16から0.17A程度です。HIOKIの3287クランプメータで測定しています。DC電流も簡易測定できるので、けっこう重宝しています。
FANUCの9インチCRTの不具合でお困りの方は、こういう部品交換もできます。お困りの方は参考になさってください。